キャンプやイベント、DIYなど、アウトドアにおいてポータブルバッテリーの出番が増えてきています。しかし、定格出力(W)、容量(Wh)によって価格は2万円ぐらいから30万まで幅があり、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。この記事を読んで頂くと、使う用途によってどのぐらいの出力、容量のものを選べばいいのか、あなたの使い方からどのメーカーのポータブルバッテリーがマッチしているのかがわかるようなると思います。
各用途(容量)毎のおすすめ機種を紹介していきます。
機種を選定する最後の決め手になるのは、ポータブルバッテリーに何を最も強く要求するか次第です。
コンパクトさ、長寿命、急速充電、つなげる機器の数なのか、など人によって重視するものは違います。何を重視するか?
各メーカーのポータブルバッテリの開発の方向性が、それぞれ違っており、どのメーカーの製品を選べば、ご希望にそうか、その点について、この記事を読んでいただけるとご理解いただけると思います。
少し他とは違う観点で、各メーカーのポータブルバッテリの比較を行っています。
メーカー紹介
今回、比較検討をおこなったのは以下の7社の20機種のポータブルバッテリーです。簡単にメーカーについて紹介します。
Jackery(ジャクリ)
日本のポータブルバッテリー分野における老舗的なブランドと言っても過言ではないでしょう。 キャンプ場などで見かけた方も多いのではないでしょうか?JVC-ケンウッドと業務提携しており、Jeckeryのポータブル電源を独自にチューニングして販売されています。
BLUETTI(ブルーティ)
いち早くLiFeP04(リン酸鉄リチウム)バッテリーを導入したメーカーです。安全&長寿命に長けた 高品質なセルを使用しており、グッドデザイン賞にも選ばれるなど人気が高まりつつあるバッテリーメーカーです。
Anker(アンカー)
モバイルバッテリーやワイヤレススピーカーやモバイルバッテリーなどエレクトロニクス分野で幅広く販売実績のある中国メーカーです。
amazonで検索するとこのメーカーの製品が良く出てくるようになりましたね。
ここもリン酸鉄リチウム系の電池を採用しています。
EcoFlow(エコフロー)
SmartTap
ASAGAO(アサガオ)
深センに本社のあるASAGAO有限公司の日本法人ということですが、中国でもASAGAOという名前なんでしょうか?
ラインナップは少ないですが2000Wh以上の大容量グレードにおいて他メーカーのものよりかなりコストパフォーマンスが高いです。
SABUMA
ポータブル電源の選び方
定格出力(電化製品の消費電力に注意)
電化製品にはそれぞれ消費電力があり、これ以下の定格出力のポータブルバッテリーは使用することができません。例えば定格出力が300Wのポータブルバッテリーで、消費電力の大きいハロゲンヒータやホットプレートを動作させることはできません。
熱を発生させる家電や、DIY用の電動工具の場合は消費電力が大きいため、定格出力の小さいポータブル電源は、動作させられる家電が限られてきますので注意が必要です。まだ具体的な用途が決まっていない場合は定格出力が大きいグレードを選択したほうがいいかもしれません。
電気ドリル、インパクトドライバといった使用時間が数秒程度の短時間のものについても、使用可否の基準は最大出力ではなく、定格出力なので、使う機器選定の際は注意してください。
設備 | 消費電力(W) |
---|---|
LEDライト | 8 |
スマホ充電 | 10 |
タブレット充電 | 20 |
扇風機 | 30 |
電気毛布 | 55 |
液晶テレビ | 60 |
車載冷蔵庫 | 60 |
設備 | 消費電力(W) |
---|---|
電気カーペット | 200 |
小型炊飯器 | 250 |
インパクトドライバ | 500 |
電気ドリル | 800 |
ドライヤー | 1000 |
ハロゲンヒーター | 1000 |
ホットプレート | 1300 |
電力量・容量(Wh)
電力量毎に性能を比較すれば、購入を考えている人が想定する用途でどの機種を選べばいいのかが見えてくると考えられます。今回はカタログスペック上の数値だけではなく、製品仕様から算出されるWh当りのコストや体積エネルギー密度、重量エネルギー密度といった電池の効率の観点からも比較を行っています。そうすることで各製品のコストパフォーマンスも見えてくると思います。
寿命(サイクル特性)
ポータブルバッテリーにはリチウムイオン電池という二次電池使われています。リチウムイオン電池に限らず2次電池(充電ができる電池)は、充電と放電を繰り返すたびに徐々に性能は低下し、容量の低下、抵抗が上昇が起こります。ポータブルバッテリーも繰り返し使用することで、徐々に電化製品を動かせる時間が短くなります。
AnkerやBLUETTIが採用しているリン酸鉄リチウム系のリチウムイオン電池は、寿命に関して優れており、他社の比べて3~6倍の寿命を達成しているものもあります。ただし、リン酸鉄リチウム系の電池は使っている材料の特性により、同じ電力量、容量のポータブルバッテリー同士を比較すると、リン酸鉄リチウム系のものは、大きく、重くなる傾向にあります。
おすすめのポータブル電源20機種
20機種について、容量毎のグループに分け、機種選定に重要な項目を抑えた上で性能比較を行いました。
日常での使用を想定(~750W)
想定用途:スマホ、タブレットの充電、照明機器、扇風機、サーキュレーター、テレビ、パソコン
庭での遊びや、DIYなどに用いる際は、持ち運びをする頻度も高いのでできるだけ軽量のものがよいでしょう。ただし使用できる電気製品がかなり限定されてきます。暖房や調理などの熱を発生させる家電は、DIY用の電動工具も使用できるものが限られてきますので注意したほうがいいです。具体的な用途が決まっていない場合は定格出力が大きいグレードを選択したほうがいいかもしれません。
このグレードで比較検討したのは、以下の製品になります。
上記7機種の性能についてまとめたものが、下の表になります。電力量(容量)の順番に並べています(下に行くほど大容量)。各項目におけるベスト2を緑のハッチをかけています。
おおよそ、容量の増加に比例して出力、重さは増えていくものですので、これらを比較することにあまり意味はありません。これらはいわば、ポータブルバッテリーの中にどれだけ多くの小さな電池を詰め込むか次第ですので、小さな電池を詰め込むほど(コストをかければかけるほど)、大きくできるものです。
電池を詰め込むだけでは向上できない性能を比較することで、自分の目的にあったコストパフォーマンスの高いバッテリーを選択することができると考えられます。
これらを示すものが表中の、本体満充電時間(充電にかかる時間)、80%以上保証サイクル数(寿命)、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度、単価になります。単語の説明を以下に記載します。
本体満充電時間 (時間) | 充電量0%から100%までに要する時間 |
80%以上保証サイクル数 | これだけの回数の充放電を繰り返しても、初期の電力量(容量)の80%の電力量を貯められます、いうこと。 |
重量エネルギー密度(Wh/kg) | 単位重量当たりに貯められる電力量。同じ容量の電池で比べた場合、重量エネルギー密度の高い製品は軽くなる。 同じ重さの製品同士で比べた場合、重量エネルギー密度の高い製品の容量は大きくなる。 |
体積エネルギー密度 (Wh/L) | 単位体積当たりに貯められる電力量。同じ容量の電池で比べた場合、体積エネルギー密度の高い製品は小さくコンパクトになる。 同じ体積の製品同士を比べた場合、体積エネルギー密度の高い製品の容量大きくなる。 |
単価(円/WH) | 1Wh当りの単価 |
これらを比較すると、電力量や定格出力以外での基準として、以下のような選択基準で選択すればよいと思います。
とりあえずコストパフォーマンスの高いポータブルバッテリーがよい人
⇒ Jackery ポータブル電源708、Jackery ポータブル電源400
Jackery ポータブル電源708、Jackery ポータブル電源400
使用頻度が高いので長持ちさせたい人
⇒ Anker 521 Portable Power Station
Anker 535 Portable Power Station
一日に何回も使うので短時間で充電したい人
⇒ EcoFlow RIVER Max エコフローリバーマックス
Anker 521 Portable Power Station
アウトドア、キャンプでの利用を想定(500~1500Wh)
想定用途:日常での使用に加えて、ほとんどの電気工具、小型冷蔵庫、炊飯器、電気毛布、大部分の調理家電、災害時の緊急使用
キャンプやイベントでは、コーヒーメーカーや冷蔵庫、ラジオなどに長時間電源を供給する必要があります。500~1500Wになると、加熱調理器具や暖房器具の中にも難しいものがありますが、ほとんどの家電を動かすことができるようになってきます。
このグレードで比較検討したのは、以下の製品になります。
先ほどと同様に、本体満充電時間(充電にかかる時間)、80%以上保証サイクル数(寿命)、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度、単価を比較すると、電力量や定格出力以外での基準として、以下のような選択基準で選択すればよいと思います。
とりあえずコストパフォーマンスの高いポータブルバッテリーがよい人
⇒ EcoFlowポータブル電源 EFDELTA
Smart Tap ポータブル電源 PowerArQ Pro
使用頻度が高いので長持ちさせたい人
⇒ BLUETTI EB70S小型ポータブル電源
Anker 757 Portable Power Station
一日に何回も使うので短時間で充電したい人
⇒ ECOFLOW ポータブル電源 RIVER Pro
Anker 757 Portable Power Station
災害時などの非常用、あらゆるケースを想定(2000Wh以上)
想定用途:ホットプレート、電子レンジ、数日間におよぶキャンプ、祭り、イベント
最近は地震や台風などの天災で停電した際の非常用電源としても注目されています。
このクラスになると電力量にほぼ差がなくなり、急速充電にも対応している製品がほとんどですので、純粋に、本体満充電時間(充電にかかる時間)、80%以上保証サイクル数(寿命)、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度、単価を比較して、以下のような選択基準で選択すればよいと思います。
とりあえずコストパフォーマンスの高いポータブルバッテリーがよい人
⇒ BLUETTI ポータブル電源 AC200P
BLUETT Iポータブル電源AC200MAX
使用頻度が高いので長持ちさせたい人
⇒ BLUETTI ポータブル電源 AC200P
BLUETTIポータブル電源AC200MAX
バッテリーのコンパクトさ
⇒ Jackery ポータブル電源 200 Pro JE-2000A
SABUMA ポータブル電源 S2200
まとめ
いかがでしたでしょうか?ポータブルバッテリーの大きさにより違いはありましたが、数グレード販売している各メーカー毎の特色としてはおおよそ以下のような感じだったかと思います。価格については変動するものですので、今後もそれについての評価は変わり得るものですが、皆様のポータブルバッテリーの選択の一助となれれば幸いです。
メーカー | 強み | 弱み |
Jackery | ・同グレードの他社品に比べて、重量、体積的にコンパクト | ・出力端子数が少ない。 ・大容量グレード以外は寿命は短め。 |
BLUETTI | ・圧倒的な長寿命 ・大容量グレードは低コスト | ・容量のわりにサイズが大きい |
EcoFlow | ・圧倒的な急速充電 | ・価格が高め |
Anker | ・急速充電と長寿命 | ・容量のわりにサイズが大きい ・価格が高め |
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